
内容紹介
眠ると、前野良沢たちが、のちに『解体新書』となる蘭書を訳している江戸の部屋にいる。機械翻訳を直す現代の医療翻訳者が、ことばが一語ずつ決まっていくのを見届ける小説です。
一行二十秒で治験の文書を直す戸村未央は、ある夜から、明和八年の築地鉄砲洲で、少年の目を借りて訳読の場に立ち会うようになる。未央は「神経」という語を知っている。この部屋には、まだない。
巻頭に名前が載らなかった前野良沢と、自分の名前を残さずに納品する翻訳者。二つの机のあいだで、ことばと名前の出どころをたどります。
※本書はフィクションです。実在の人物が登場しますが、会話と場面の多くは創作です。
こんな方に
- 歴史小説が好きで、蘭学や『解体新書』に興味がある方
- 翻訳や、ことばを選ぶ仕事をしている方
- 名前の残らない仕事について考えたことがある方
著者
蒼井冬夏。静かな怪談と、喪失と再生の物語を書いています。

